アトピーを治す食事改善の考え方

 「除去食」 ではなく、「アトピーを治す食事」 を



ここ何十年かで、私たちの食生活は大きく変わりました。

アトピーが増え出した年代と、
食生活が変化し出した年代が一致しているのは偶然ではありません。

肉や油ものが年々増え、
野菜、くだもの、発酵食品(納豆、味噌、漬けもの)などは、年々減っています。

ここにアトピーの原因があります。

けれども、アトピー治療において、「食事の改善指導」 は、あまりにも軽視されてきました。

「除去食」 「回転食」 「日本食中心」 が言われたりすることはありますが、
    ・どんな栄養成分が有効なのか、
    ・どんな食材、食品がいいのか、
    ・どんな食事をやめるのか、
    ・それはなぜなのか、
などについて、きちんとした説明がない場合が多く、
食物検査などでアレルギー反応が出た食材を、
なんとなく「除去」 することが一般的です。

けれども、除去食は、
とりあえずアレルゲンを避けるという意味以上ではなく
アトピー体質を改善して、アトピーを治す、という積極的なものではありません。

子供の場合、成長に必要な栄養素が不足する可能性もあります。

「回転食」 「日本食中心」 は、いいことですが、
なぜいいのかを患者がはっきり理解しなければ、徹底されません。


アトピーを治す食事の基本



アトピーを治す食事の、基本中の基本は、

  • 肉を減らす
    • 肉の過剰は、腸壁バリアを傷つけ、
      未分解のタンパクが侵入して食物アレルギーを起こす原因となります。
    • 腸内の悪玉菌を増やします。
    • 肉に含まれる 「アラキドン酸」 という脂肪分(油)がアトピー、喘息の原因となります。
    • 酵素、ビタミン、ミネラルが消耗して、
       炎症の治癒力が落ちたり、ホルモンバランスが乱れたりします。
  • 油を減らす
    • 市販の油(リノール酸の油=べにばな油、サラダ油、ヒマワリ油など) の取りすぎ。
    • 「トランス脂肪酸」 という化学抽出での製造過程で生まれる、
      自然にはほとんど存在しない油が、局所ホルモンのバランスを崩し、アトピー・喘息を起こします。
       (出来合いの油もの、ファーストフードの油ものは、さらに悪いです。)
  • 魚を増やす
    • 魚に含まれる EPA、DHA にアトピー治癒効果があります。
       (ただし食べすぎはよくありません。)
  • 野菜、海藻、豆類、くだものを増やす
    • 酵素、ビタミン、ミネラル、食物繊維が、アトピー治癒効果を持ちます。

「なぜ、そうなのか」
「特にいい食品・栄養成分」、「特に悪い食品・食材」はなにか、
などについては、次ページでご紹介しています。

          ⇒タンパクの取りすぎ      ⇒動物性タンパク質
          ⇒牛乳について          ⇒油を変える
          ⇒脂肪酸とアトピー        ⇒代謝されない脂肪
          ⇒マーガリン            ⇒魚について
          ⇒酵素をたくさん取る       ⇒味噌汁と納豆
          ⇒野菜・果物            ⇒消化にいい食べ方

そして、こうした食事に変えても、栄養バランスは崩れたりしません。
むしろ、劇的に栄養バランスが改善され、子供の体や脳の成長にもいいのです。

 *かつては、欧米の研究者が、
  「日本人が頭がいいのは、魚を食べているからではないか」 と研究対象にしたほどです。

 *現代の日本人は、あまりに肉を中心とした高タンパク、高脂質で、
  こうした食事が、生活習慣病の原因になり、また、
  倦怠感、無力感、神経系の疾患の原因になっているという研究も出てきています。


 和食中心がアトピーに効果的


ここ十数年で、予防医学や栄養学は、欧米を中心に大きく変わりつつあります。
それは、Aという食品に含まれているBという栄養素が
人間の体内に入るとどう変化し、影響を与えるのか、
というところまで分析・研究し、評価する、というものです。

それは単に、「タンパク質が豊富」「カルシウムがいっぱい」 といった
栄養素が含まれていれば「いい食べ物」 という評価をしていた「古い栄養学」 から
病気と食事を密接なものとしてとらえ、
それぞれの食品に含まれる固有の栄養素が人間に与える影響まで、目配りする
「新しい栄養学」「予防医学」 に変わっている、ということです。

その中で、欧米では 食の大きな見直し が始まり、
 「日本食ブーム」 が起こってきたのです。

「日本食はヘルシー」 と、よく聞きますが、
私たちはよく「ヘルシー」を、「ダイエットにいい」 というニュアンスだけで聞いてしまいます。

けれども「ヘルシー」 とは、まさに
「健康にいい」 ということです。

「日本食ブーム」 が起こった最初のきっかけは、
米国政府が医療費の膨張をふせぐために「食の見直し」 を国家プロジェクトととしておこなった
「マクガバン・レポート」です。

この膨大な研究レポートの結論が、
世界で最もいい食事は 「日本食」、とされたのです。
 (ただし、米は白米でなく、日本人が古来から食べていた玄米・ひえ・粟などです)

味噌汁にしても、納豆、漬けものにしても、
日本人が古来からはぐくんだ、まさに「ヘルシー」な食べ物です。

体を元気にして、長生きさせる食事が 「庶民の和食」 であり、
アトピーを治すうえでも大切な栄養素を豊富に含んでいます。

ぜひ、日本食中心を楽しんで、アトピーを治していきましょう。


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